河島友和
Assistant Professor, University of Kentucky
発表演題: 植物の種子形成メカニズムから食糧増産を考える
私たちは70%以上のカロリーを植物の種からとっています。環境変化や世界人口の増加により、安定した食糧供給は喫緊の課題であり、様々な面から研究が進められています。種子は初期発生時のほんの数ミリの大きさの時に、どのくらいの大きさになれるかを既に決定していることが示唆されており、種子内の胚乳と呼ばれる組織が、胚の大きさの決定に大きく関わっていることわかってきました。大きな種は、育つ植物が強く大きくなり、その後の収穫量が増えるだけでなく、大きな種そのものが穀物等の収穫量増大へつながります。私の研究室では、分子細胞遺伝学とライブイメージングの手法を用いて、この種子初期発生時の胚と胚乳、そして最終的な種の大きさの関係を調べています。胚乳は、細胞分裂を伴わない核分裂を行い、多核の大きな胚乳細胞を形成します。胚乳のある部分では核が一斉に移動しはじめ多核凝集体を作ります。これらのダイナミックな動きは細胞骨格の一つであるアクチン繊維が担っており、アクチン繊維の動態を変えてやることで種子の大きさが変わることがわかりました。現在、どのようにアクチン繊維が核ダイナミクスを制御しているのか、またこのダイナミクスがなぜ種子サイズに影響を及ぼすのかを調べています。
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